記事一覧

ESCAとTOF-SIMS

2013.06.21

大学には様々な実験装置があります。
今日はその中から二つ【ESCA】と【TOF-SIMS】をご紹介しようと思います。

その1:ESCAとは

ファイル 1470-1.jpg

 エックス線光電子分光装置のことで、
Electron Spectroscopy for Chemical Analysis
の下線部をとってESCAと呼びます。
 超高真空中のサンプルにX線を照射し、放出される電子を検出する装置で、検出された電子のエネルギーを測定することで、元の元素はなんだったのか?を判定するという分析のために使われます。
 すごく大雑把に例えると、「桃Bloggerはいつも10円玉を5枚持っている」という情報があったとして、桃Bloggerが誰かにぶつかられた際、5枚の10円玉を落としたとします。そうすると、それを見た別の人が「5枚の10円玉を落としたから、ぶつかられた人は桃Bloggerで間違いない」と判断できる、と、そんな風な訳です。

ファイル 1470-2.jpg

装置の中は、約9×10-9Pa(パスカル)という超高真空。こうやって見ると「宇宙船」のような装いですが、宇宙空間なのは装置の中の方になります。

その2:TOF-SIMSとは

ファイル 1470-3.jpg

 飛行時間型二次イオン質量分析装置のことで、
Time of Flight secondary ion mass spectrometer
の下線部をとってTOF-SIMSと呼びます。
 高真空中のサンプルに高速のイオンビームを照射し、放出される「サンプル表面のイオン」を検出する装置です。装置内部で発生したサンプル表面のイオンは、検出器にめがけて飛んでいく様に設定されているので、その飛んでいる(検出器まで届く)時間を測定して、何の元素で構成されているのか?を判定するという分析のために使われます。
 すごく大雑把に例えると、「壁にくっついているピンポン玉」と「桃Blogger」を同時に同じ力で押し出したとすると、ピンポン玉はすごい勢いで飛んでいくのに対し、桃Bloggerはピンポン玉より遅く飛び出すため、1メートル先で判定する人は、先に到着したのがピンポン玉で後から到着したのが桃Bloggerだと判断できる、とそんな風な訳です。

ファイル 1470-4.jpg

試料室の中をのぞいてみると、イオンビームが出てくるところとイオンが飛ぶところがよく分かりますね。

ファイル 1470-5.jpg

別の窓から中をのぞいてみると、ちょっとした異次元の様子にわくわくしてしまいます(^^)。

このESCAとTOF-SIMSは、いずれも化学分析に使われる装置とのことでした。