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令和の時代も続く実習

2019.05.22

ちょうど1か月ほど前に、

https://uec.iwate-u.ac.jp/ekis/diary.cgi?no=2967

水稲の播種の見学をしていた話題、覚えてますか?

あれから1か月の時を経まして、

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いい感じに育った苗たちが、ついにハウスを出る日がやってまいりました。

そう、田植えの実習です。

毎年話題にさせていただいてる実習なので、
できるだけ違ったアングルをもとめて
毎年学生さんによって変わる雰囲気、作業中の会話、
時折起きるアクシデントなどなど、
その年その時しかない瞬間を少しでもお伝えできればと思います。

真っ青な空が静かな水面に映り込んで綺麗だった一昨年。

去年は1日目終了後、天気が大きく崩れて2日目が中止になりました。

さて今年はといいますと、

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陽射しは去年より強め、風も去年よりそこそこ吹き、
春というより初夏に近いお日柄でした。

奥の方にくっきり見える山は、もちろん岩手山。

去年の記事では上半分が雲で覆われてしまっており、
「山に雲がかかると天気が崩れる」
とという言い伝え通り、2日目が中止になりましたが、
今年はどうやらそういう心配はなさそうです。

まさに令和の時代初めての田植えにふさわしい、
とてもすばらしい眺めです。

そして今年は、本学だけでなく、
ここ滝沢農場と同じ滝沢市にある
「岩手県立大学」と「盛岡大学」からそれぞれ
数名の学生さんと引率の先生方が参加していました。

サークル活動やアルバイト、インターンシップなどではなく
正規の授業の中で近隣の他大学の学生さんと一緒というのは
めったに経験できないことだったりします。

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そうそう、
冒頭で「春というより初夏に近い」と表現しましたが、
そう感じた一番の理由がこちら。

細く華奢で透き通るように青いトンボがたくさん。

ちょうど先日、桃先輩の記事で
「スコーンと抜けるような印象的な空の色」
カラーコードで紹介されていたあの色から
そのままグラデーションで広がっていった先にあるような、
透き通るような淡い青色。

そんな青く細い工芸品のようなトンボたちが
水面をたくさんツーッと飛び交う様子は、
夏の小川の水面のようでした。

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良いお日柄と皆さんの手際の良さで、
どんどん苗が消費されていくので
農場職員の方も苗運びに大忙しのようでした。

続きます

令和の時代も続く実習(おまけ)

2019.05.22

なんだかんだで、やっぱり言葉に直すよりも
実際の光景を是非見ていただきたいと毎年思います。

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通常は田植え用の長靴を貸し出しているのですが、
最近は手植えでの田植えができる機会が減っているせいなのか
「裸足で是非やりたい」
という申し出もあるようです。

たしかに、よく小学校等でやっている田植え学習などでは
裸足で田んぼに入る児童の皆さんの姿が印象に残ります。

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慣れない泥の中では、実は素足のほうが身動きが取りやすく、、
またこの日のようにそれなりに気温が高いときは
冷たい泥や水の感触が心地よかったりもするので
なかなか好評のようですね。

中には
「うっかりケッパリ※してしまったため、やむを得ず裸足になった」
というちょっと気の毒な学生さんも…。

※田植えに限らず、何らかの理由で靴の中が浸水してしまうことを
方言で「ケッパリ、ケッパ、キャッパ、カッポ」などと呼びます

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中腰で作業して、汗もかいてほどよくすいたお腹に、
今年もこびる※をどうぞ。
(※農作業やお仕事の合間にとる軽食、おやつ)

昨年農場でとれたお米に、岩大味噌で作ったお味噌汁です。

今年もパートの職員の方が前日の仕込から仕度してくださり、
そして実は…わたしもちょっとだけお手伝いさせていただきました。

お米、この日炊いた量はなんと8合×6釜=4.8升!
お米を「升」単位で炊くって一般家庭じゃなかなかないですからね…。
8合分のひと釜が炊けただけでも、それはもう圧巻でした。

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率先して配膳などやってくれた皆さん。
掲載を快く承諾くださって、ありがとうございました。

田植えといえば機械で植えるのが当たり前な現代。
だからこそ、こうして手で植えることができる機会はより貴重でもあり、
昔なら「労働」だった人の手での田植えは、今では
遠足のように「楽しみでワクワクすること」であるのかもしれません。

「昭和の時代には一週間泊まり込みの実習だった」
というお話を聞き、
その後に笑顔で楽しそうに実習に取り組む皆さんの姿を見たら、
時代の移り変わりとともに物事の価値も移り変わっていく様子が
ほんのちょっとだけ見えたような気がしました。

さて、そんな令和元年のお米、収穫するのは約4か月半後。
今年もどうか無事に育ってくれますように。