早いもので、もうあれから5か月。
雨で一度延期になったために、
例年よりも一足遅れて稲刈り実習が無事行われました。
この日は10月11日。
そう、台風が迫り来る中でのギリギリの開催だったんです。
雨で延期からの今度は台風接近ということで、
これでまた中止になったら…刈り取り前に台風が来たら…などと
とても心配な状況でした。
なんとかまだ穏やかでいてくれた空と風に感謝しつつ、
たわわに実った稲の中を手分けして、
鎌でザシザシと刈っていきます。
この稲刈り鎌のギザギザな刃で刈り取る感触と
切り口から香る生の草とわらの中間ようなにおいが
とても好きです。
刈り取るのに必要なテクニックはわりと単純なのですが
(効率よく身体や力を使う、長時間疲れにくい作業の仕方、
という観点からいけばもっといろいろ慣れや工夫が必要ですが)
毎年なかなか慣れず皆さん苦戦するのが、結束です。
わらで刈り取った稲をしっかり縛るという一見シンプルな作業ですが、
・束が「はさがけ」に耐えられるよう、しっかり締めること
・たくさん数をこなすので、手早くさっと「まるく」こと
※「はさがけ」…後述
※「まるく」…東北地方の方言で「束ねる」「まとめて結ぶ」「梱包する」etc.
この2つがとても重要なんです。
「ぎゅっとしっかり結んでね、でも手早くね」
という一見相反するような要求なのですが、
先生や農場の技術職員の皆さんの熟練の技があれば
1束10秒もかからずにこれが両立できてしまいます。
そしてその様子をデモンストレーションで見学して、
「え…えっ…!?何が起きたの…!?」
と戸惑い慌てるところまでがもはや風物詩。
海の向こう、スペインからの留学生という彼もまた、
この作業に苦戦するひとりでした。
農場の職員さんと一緒に「1、2、3」と声に出しながら、
1アクションずつに分けて何度も繰り返して
一生懸命覚えていました。
スペイン語や英語で説明するのは難しそう、と思いましたが
よく考えたらこの手順、そもそも日本語でも説明するのも難しいんです。
見てマネして覚えるのが一番手っ取り早いという…。
だから、1(one),2(two),3(three)がリズム感も良く、
動きとセットにできて一番覚えやすいのかも。
なんやかんやで無事収穫を終え、
はさがけまでを終えた稲たちです。
地域によって呼び方や方法もさまざまな「はさがけ」。
稲を洗濯の物干し竿のようにわたした稲木にかけて、
自然乾燥で数日干して乾かすことを指します。
「はせがけ」
「おだがけ(読者の方より、茨城での呼び方だそうです)」とも。
地域によっては、地面に垂直に立てた棒に稲をかけて、
ミノムシのような形で乾かす「棒がけ」なんて方法もあります。
(棒がけはこのあたりでは岩手県南~宮城あたりでよく見かけます)
ところでこの写真。
過去の稲刈りのはさがけ と比べてみると、
何か違うような気がしませんか?
そう、黒いヒモのようなものが巻きつけられています。
これは「マイカ線」と呼ばれるものでして。
ビニールハウスの押さえや支柱の結びつけなどなど
農業資材のさまざまな補強や固定に使われる
日光や雨・薬品に強く丈夫で切れにくい、平たいヒモです。
せっかくみんなで刈り取った稲が風で飛ばされないよう、
丈夫な資材でしっかりと固定して、台風に備えています。
でも、どうにか台風が来る前に無事収穫を終えられて
まずは一安心でした。
(大量の雨でぐじゃぐじゃぬかるみになった田んぼと、
強い風で倒れてしまった稲では収穫が大変ですもんね…。)
ここでは紹介しきれておりませんが、
他大学や学校からも時間差で来ていた学生さんもいたようで、
この日はトータルだとかなりの人数だったみたいです。
参加したすべての皆さん、本当にお疲れ様でした。
今年もまた、おいしいお米が森の駅市場に並ぶ日が
待ち遠しいですね。