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系譜脈々

2017.08.31

前回に引き続き、稲のお話を少々。

奥州市水沢区で田んぼアートやってるってよ、

てなお話をいたしましたが、その水沢区で5月に開催されたのが、
「田植え体験会」
ファイル 2561-1.jpg
だそうで、中央生協にでかでかとポスターが貼られていました。
これまたしらなかったー。

秋には稲刈り体験科もあるとのことなので、そのうち告知が有るものと思われます。
興味の有る方は、このポスターのらへんをチェックしてみてはいかがでしょうか。
 
 
さて、その稲の実験を行っている実験圃場。
いろんな品種が植えられていて、色合いやら背丈やらが違う様子を前回ご紹介しましたが、もっとはっきりと品種を主張していたのが、稲の列の端っこに刺さっていたこれ。
ファイル 2561-2.jpg
品種の札。
こちらは「ひとめぼれ」
耐冷性が強く、いまや日本の作付面積で2位にランクされる有名銘柄ですので、皆さんの食卓にも登ったことが有るのではないでしょうか?

他にも「げんきまる」やら「銀河のしずく」やらと言った銘柄の札がある一方で、こちらには
ファイル 2561-3.jpg
「東北211」
と、いきなり研究色丸出しの札が立ってたりします。

先ほどの「ひとめぼれ」も、味がよく、寒さに強いことを目的に交配育成された集大成というべきもので、その研究段階では「東北143号」という名前、というか、番号が付けられていたそうです。

東北岩手の稲作の歴史は、冷害との戦いと言っても過言ではありません。
岩手大学農学部の前身である盛岡高等農林学校の卒業生、「宮沢賢治」が普及に努めたとされているのが、「陸羽132号」。
こちらはとりわけ耐冷性の強い品種だったようで、宮沢賢治の「稲作挿話」という作品にもその様子が描かれているそうです。

そんな「陸羽132号」の子に当たるのが「農林1号」、その子が「コシヒカリ」、そしてその子が「東北143号」。
そう、「ひとめぼれ」です。

ちなみに「東北211」の親が、「東北189(げんきまる)」で、その2代前が「ひとめぼれ」。

こうしてみると、今回この圃場で目についた品種全てが「陸羽132号」の子孫であるわけで、そのお世話をしているのが、宮沢賢治の後輩である現在の学生さんたち。

こうした系譜を受け継ぎ、発展させ、世の中に役立てていく。
大学の、大切な役割です。